魅せるものは商品だけではない、
どんな人・どんな会社なのかも魅せる
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企業合同会社 上森米穀店
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デザイナー株式会社インプロバイド
企業
合同会社 上森米穀店
デザイナー
株式会社インプロバイド
旭川の上森米穀店さんは、昭和20年創業。お店で扱う北海道産米の六品種は、一つの品種につき、一人の生産者さんを厳選しています。三代目の鳥越さんは、人と会うことも好き、お話しすることも好き、というお人柄。生産者さんはもちろん、イベント出店などで出会ったつながりを生かして、新しい商品の開発にも積極的に取り組まれています。今回は飲食店への卸売が厳しくなる状況から、小売に向けて黒米ブランドのブランディングについて考えていきます。
黒米で展開する商品を売りたい
「なんでデザインをするのかという根本を知りたいんです。」と鳥越さん。今回の参加目的は、先代から引き受けた黒米のブランド自体をデザイン、設計していきたいとのことでしたが、デザインの本質的な部分も知っていきたいという姿勢を感じました。現在黒米の商品は、真空パックの黒米の他に、黒米茶、手延べ黒米うどん、古代米パスタなどをラインナップ。シリーズがバラバラになってしまっていることに課題を感じられているようです。
まず私たちは、黒米商品の特長についてお話しを伺いました。黒米は先代から、契約農家さんと生産。「きたのむらさき」という黒米初の銘柄登録で、北海道でしか育たない品種などなど…知らないことがたくさん。そしてその私たちが感じた「なるほど!」というポイントがうまく伝わっていないのだと考えました。
売りたい商品だけを
見すぎてしまった?
初回のヒアリングから黒米を部分的に整えるというより、全体が整っていく方向が良いと思いました。まず会社自体が一つのブランドとして認知されることで、商品から会社、会社から商品、とどの場合にもコミュニケーションがつながっていくからです。上森米穀店さんの場合は「お米屋さん」をスタートにデザインすると良いと考えました。「黒米」という売りたい商品をどう売るかではなく、「黒米」を取り扱う上森米穀店さんが選んでいる「お米」も食べてみたいなと、商品と全体のつながりを設計していくことにしました。
そして会社と商品のつながりに加えて、鳥越さんのつながりが可視化されていくことを目指しました。面談の中で「毎日がたのしいんです。その延長でお米屋さんもやっていて。」という鳥越さんは、キャンプやサーフィンなど遊びも好き。デザイナーの方とキャンプ用の1合パックのお米「ソロめし」を企画したり、販売したりと、ご自身の興味やそこで出会うことがつながったコミュニティの中心に、鳥越さんがいて、お米の商品も展開されていくという流れも考えていきました。
鳥越さんご自身のブランドとして
独自の楽しみを通して「黒米」と「白米」を提案している、というストーリーをつくりました。「どんなことが楽しいのだろう」と鳥越さんが考えることで、白米、黒米、お店、全てブレずに取り組んでいくことができるからです。
鳥越さん、「ハッとしました。いつのまにか黒米を売ることが目的になってしまっていました…」とコメント。 そして実は最後の一言、私たちが提案した際には“コメだって、まだ楽しめるんだ”という言葉でした。鳥越さんから「“まだまだ”はどうでしょうか!」とフィードバックいただき、鳥越さんの人柄が表現されながら、これからへの勢いも感じる、とても良いストーリーになっていったと思います。
ストーリーシートを実際に印刷して、バイヤー相談会やイベントで活用してくださりました。ストーリーシートは「はじめましての挨拶がわりに届ける内容」と位置付けているのですが、「ストーリーシートから紹介すると、すぐに把握してもらえる実感がありました」とお話しいただきました。
最後にデザインコースを振り返って「パッケージだけデザインをお願いするのではなく、デザイナーの方に方向性、デザインの内容含め、根本から一緒にお話ししないとデザインの本質にはならないと感じました」と最初の疑問へのこたえを見つけていらっしゃる姿が見えました。この考え方が、流通を継続できる体制づくりというRE北が目指す、デザイン思考の第一歩だと思います。
事業者情報
社名 | 合同会社 上森米穀店 |
所在地 | 〒062-0937 北海道旭川市1条通21丁目1974-132 |
創業 | 1945年(昭和20年)9月 |
代表者 | 代表 鳥越弘嗣 |