焦らずに、自分たちらしさを活かした次のステップを目指す

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    有限会社佐々木製麺所
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    3KG

企業

有限会社佐々木製麺所

デザイナー

3KG

佐々木製麺所は、テレビドラマ「北の国から」の舞台として知られる富良野市で、1958年から麺を製造し続けている企業です。富良野には、夏はラベンダー畑の風景、冬はスキーやスノーボードを目指して観光客が集まります。佐々木製麺所は地元の学校やホテルなどに生麺を納品していますが、生徒数の減少や、新型コロナウイルスの流行で観光客が減少するなどの影響を受けています。

企業とデザイナーが足並みを揃えながら

工場を訪問してお話を伺い、自社ブランドの製品を拝見するなかで注目したのは、「ふらのラーメン」です。1980代に発売開始した当時から変わらないパッケージデザインが目を引きました。デザインは発売当時から変わっていないそうです。

地方の中小企業の経営改善にデザイナーが関わると、ロゴ、パッケージ、そしてウェブサイトのリニューアルが話題にのぼります。たしかにデザインには流行がありますから、時代に合わせてアップデートすることは大切です。例えばコカ・コーラやスターバックスなどのロゴについて調べてみると、ずっと同じだと思っていたものが、実は何度もリニューアルされていたことがわかります。「ふらのラーメン」は40年間同じパッケージデザインなのですが、大きく手を入れる必要は感じませんでした。40年間を振り返ると、おそらく時代遅れなデザインに見えた時期があったと思います。しかし、今は、時代が一回りして当時のパッケージが、懐かしくも新しい、個性的なデザインに見えたのです。

この10年で日本のおみやげのデザインは大きく若返りました。全国各地の空港の売店を訪れると、新しいデザインのおみやげが並んでいます。でも、だんだんどれも同じに見えてきませんか? 時代に合わせたデザインのアップデートは必要だと思います。一方で、パッケージなどにその企業らしさが表現されていることが何より大切。佐々木製麺所の場合は、継続的にデザイナーと仕事をしてきたわけではありません。今回のデザインコースをきっかけに、デザインで何ができるのかを考え始めたばかりです。焦らずに、企業とデザイナーが足並みを揃えながら、佐々木製麺所らしさを活かした次のステップを目指すのが良いのではないかと思いました。

麺づくりのこだわりもしっかり伝えていく

ふらのラーメンのパッケージの面白さは、いわゆるレトロなデザインです。ともすれば面白さが先行して、味の話が置き去りになってしまいそうですが、麺の美味しさも「ふらのラーメン」魅力です。ノンフライでじっくり乾燥させるという昔ながらの製法で製造された乾燥麺は、茹でると想像以上にふくらんで、生麺のような食感になります。今後北海道外にも販路を拡大していくことになるのであれば、製造のこだわりなども含めてしっかりと伝えていくことが必要でしょう。また、地元の製菓会社を引き継ぎ、新たに製菓部門も加わり、今後伸びていきそうな気配。製麺部門と製菓部門があることをわかりやすく伝えていく必要がありそうです。