守るブランドと、変化していくブランディング

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    有限会社 プロセスグループ 夢民舎
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    3KG

企業

有限会社 プロセスグループ 夢民舎

デザイナー

3KG

夢民舎の工場がある旧早来町(現安平町)は、昭和8年に全国ではじめてチーズ工場ができた町。昭和60年に工場が大樹町に移転しましたが、創業者の宮本正典さんの「この町にもう一度チーズの灯をともしたい!」という思いに、町の印刷屋さん、酪農家、畑作農家、チーズ工場で働いていた技術者など6人の有志が集まり有限会社プロセスグループ「夢民舎」が誕生しました。

北海道での知名度は高いが、道外でのアピールに課題

北海道にお住まいの方は、夢民舎が製造する「はやきたチーズ」がスーパーの店頭に並んでいるのを見たことがあるかもしれません。北海道内で一定の知名度と売場を持っている夢民舎は、北海道外での販路拡大を目指しています。ふるさと納税の返礼品や、北海道物産店などのイベントで一定の認知と売上がありますが、北海道外の方々にも日常的にはやきたチーズを食べていただけるように高品質スーパーなどの棚に並ぶのが目標です。

北海道外で販売するために整理しなければならないのは、関東・関西への送料を考慮した価格設定です。北海道とそれ以外の地域で価格を変更するのか、統一するために北海道での販売価格を上げるのか、あるいは内容量を少なくしたり、北海道外向けのパッケージを用意するなど検討しました。

チーズ工房、レストラン、ソフトクリームを
まとめてブランディング

夢民舎では、チーズだけでなく、チーズを作るときにできるホエー(乳清)で豚を自社飼育し、ハンバーグや餃子を製造し、自社が運営するレストラン「みやもと」でも提供しています。ソフトクリームにカマンベールチーズを練りこんだカマンベールソフトもレストラン「みやもと」の人気商品。このように、創業以来時間をかけて広がってきた業務内容をいかに関連付けて、魅力として伝えていくかが重要です。夢民舎を初めて知った人にとって、チーズはともかくとして、餃子までをつなげて理解するのは難しいからです。

アイデア豊かな創業者・宮本正典社長から、現在副社長を務める長女・吉川絵理子さんへと、どのように事業を引き継いでいくかということも大きな課題のひとつ。創業の思いは企業の根幹を成すものですが、次世代が何を引き継ぎ、何をやめ、何を新たに加えていくのか。夢民舎に限らず、事業承継が課題という中小企業は多いかもしれません。