次のステップに向けて、
いままでとこれからをつなぐストーリー
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企業株式会社 北海道バイオインダストリー
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デザイナー株式会社インプロバイド
企業
株式会社 北海道バイオインダストリー
デザイナー
株式会社インプロバイド
1997年に「北海道第一号の大学発ベンチャー」として設立した、北海道バイオインダストリーさん。北海道に自生する野草や野菜にバイオ技術の健康効果を付加価値化し、機能性食品・食素材等の研究開発・販売しています。「健康」というキーワードを出発点に、独自の研究技術を生かしたドレッシングやサプリメントなどを展開。今回のデザインコースでは、商社機能をもつ研究開発型メーカーとしての新しいブランド戦略づくりを進めていきました。
ヒット商品と事業全体の
バランスがむずかしい
北海道バイオインダストリーさんの中心商品は「北海道タマネギドレッシング」。テレビ番組などのメディアでも多く紹介されている商品です。ドレッシングのイメージが強いですが、生活習慣病予防のためのサプリメント開発など、バイオ技術による健康効果で付加価値をつくる会社で、ドレッシングは1つの部門の商品。
「①機能性食品、②機能性食素材、③機能性志向食品の3つの部門で事業展開しているのですが、ドレッシングが強いと言いますか、他が弱いと言いますか…バランスをとっていきたいんです」と代表の村上さん。将来的に、3つのバランスが取れた事業展開を目指しています。また研究担当の斎藤さんは「研究の背景があっても、健康食品となるとうまくお客様に伝わっていかなくて…記憶障害改善作用と言うと、なんだか胡散臭くなってしまうんです」とお話しされていました。商品と会社としての背景が、一体として伝わりづらいことが課題です。
時代の先をいっていたのに、
それがうまく特長にならなくて
2回目の面談で改めて課題についてお話しを伺いました。「時代が会社を追い越していくんです」と斎藤さん。六次産業化という言葉が話題になる前に、生産、加工、流通を一気通関で取り組んでいたこと。廃棄玉ねぎの有効活用をしていたら、SDGsの話題が出てきたこと。考えていることは時代の一歩先だったのに、機能性表示食品という特性上、制度など難しい部分があるようです。私たちは「一歩先で考えていたこと=これからの時代(社会課題)を考えつづけている」と会社としての姿勢を表現できる強みになると考え、整理していくことにしました。
また会社をわかりやすく伝えるものを求めて、デザインコースに参加されたバイオインダストリーさん。現在の「北海道のおいしさと健康を食卓へ」という言葉も一緒に見直していきます。会社を表現する言葉で私たちが大切にしていることは、“成長した先への期待感”です。未来の要素がストーリーに必要だと考えています。これまでに伺った課題に加えて、この先在りたい姿を改めて整理してもらうことを2回目の面談の宿題にしました。「北海道タマネギドレッシング」というヒット商品が先にあるので、的確なメッセージを伝えることで、よりファンになってもらうストーリー設計につなげていきます。
未来の在りたい姿が
ブランドの軸をつくっていく
これから目指すところを考えてきてくださった村上さん。「北海道の健康寿命を1位にする活動、その音頭をとれる会社を目指したい」とお話しがありました。次の要素で会社のストーリーをつなげていきます。①食品を扱うので、北海道の食のイメージとそのおいしさ、②研究をもとに、健康のもとになる食をつなぐ存在としての表現、③これまで時代の先を考えてきた歴史。私たちは『「おいしい」の一歩先で。』からはじまるストーリーを提案しました。
ストーリーを読んだあとに「今までの歴史を包含しつつ、自分たちの立ち位置がわかり、次に何をしようかと広がっていく感じがします!」とうれしいコメントをもらいました。
3つの事業展開をつなぐアイデアから
3つの事業バランスをつくる新しい戦略を考えます。軸にすべきは、ストーリーと関連させることができる「健康のその先に何があるのか」という考え方です。会社という大きな土台に3つの部門(ブランド)をおいていける形をつくり、ドレッシングとサプリメントをつなぐアイデアについて考えていきます。『「おいしい」の一歩先で。』が3つの部門をつなぐ共通項となっていくのです。
[ディスカッションから]
- 手軽に取り入れることができて栄養もより摂れる、スパイスやソースはどうでしょう。
- 技術の展開としては、栄養分の吸収率をよくしたり、効率よく排出するというようなこともできますよ。
- ソースにタンパク質などを追加する、ということもできるかもしれません。
面談では、さまざまな事例も含めてお話しを進めていきます。最後に「なにか仕組みをつくる側って良いですよね」と村上さん。私たちは4回の面談から、仕組みをつくる側のバイオインダストリーさんもイメージすることができました。考えて企画して、地域の食材でブランディングするチームをつくるような、地域に根付いた商社的な役割も今後取り組んでいけるのではないでしょうか。
事業者情報
社名 | 株式会社 北海道バイオインダストリー |
所在地 | 〒062-0937 北海道札幌市豊平区平岸7条14丁目3番43号 |
創業 | 1997年(平成9年)9月 |
代表者 | 代表取締役社長 村上 季隆 |
事業内容 | 北海道の特徴的な農産資源を活用した生活習慣病予防を目的とする機能性食品・食素材等の研究開発・販売 |
デザインコースを振り返って
今回ストーリーをつくってもらったことが大きな収穫でした。会社の芯ができることで遠まわりしなくなり、また商談でのやりとりでもバイヤーから今までにない新しい指摘があり、気づきにつながりました。(村上さん)